ストライクウィッチーズのSSを書いてます。 その他百合中心で書くつもりですが、普通の日記も書くかも。
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SS「≠(Not Equal)」 (ハンナ・ウィンド×ニパ、短め)
島田フミカネ先生のtwitterで(時間限定で)設定が公開されたスオムス空軍のハンナ・ウィンド(ハッセ)さんの誕生日SS。誕生日は非公式ですが、元ネタの人と同じ7/30でしょう。
フミカネ先生によってニパとの関係も書かれていたのでハッセ×ニパで。

ハッセはこんな子です(左側)。ではSSどぞう。

hasenipa01.jpg


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≠(Not Equal)


「お……」
 パーティーの準備が出来たことを告げにハッセの部屋を訪れたところで、私は言葉を失った。
「んー? どうしたんダ? ニパー?」
 ハッセの周りをくるくると回って彼女の様子を確かめながら、イッルがとぼけた声で言う。
「この格好、選んだの、お前?」
「そうだゾー。ハッセの誕生日だからナ」
「──どうかな? ニパ」
 いつもの落ち着いた顔で、それでもわずかに照れながら、ハッセが私に聞く。
「……い、いいんじゃねーの」
 咄嗟の事もあって、そんな返答しか出来なかった。

「何だヨー。もっとホメロヨー」
 服を見立てたイッルは、私の答えに不満そう。
 イッルがハッセに贈り、そして今ハッセが身に付けているのは、パーティ用に新調した衣装。
 礼服みたいに丈の長い細身のジャケットと、ドレスシャツの胸元にリボン。どこからどう見ても男装なのはまぁ、受け入れるとして、こいつがこういう服を身に着けると様になる。こいつの持つ、落ち着いた穏やかな雰囲気がより際立つというか。
「分かってないよナー、ニパは」
 イッルはハッセに手鏡を渡し、どうだー? と聞く。うん。いいよ、と鷹揚に応えるハッセ。
 戸口に突っ立ったままで、私はそんな二人の姿を眺める。

 咄嗟の事で淡白な感想しかいえなかったけれど、私はハッセの姿に目を奪われている。お揃いのセーターでなくなると、こうも違って見えるんだろうか。
 似た顔の形、似た髪の色。確かに違うのは瞳の色だけ。
 私達に言わせれば全然似ていないけれど、からかいの種になる程、良く似た顔の私とハッセ。同じセーターを着る様になってからは「見分けがつかないから何とかしろ!」という苦情が出る程だけど。
 きっとこいつだから、こういうのが様になるんだよな……。

 頭の中のどこかでは、同じ姿だと思っていたのかもしれない。だから違う服装をされると、改めて差異を意識してしまうのかもしれない。
 いつも柔らかな笑みを湛え、皆をにこやかに見守っている、そんな大人びた雰囲気のあるハッセと、イッルに何か言われる度に(される度に)、怒鳴り返してしまうとげとげしい自分。
 どんなに似た顔をしていても、二人は別の人間。性格も能力も、まとっている雰囲気もまるで違う。

(私も、こんな怒りっぽい奴じゃなかったら、こう言うのが似合うのかな……)

 よく似た容姿を周囲がからかう中で、私を私自身として認め、信頼してくれているハッセ。その事を知っている筈なのに。それでいいと思っている筈なのに。
 それでもそんな事を考えてしまうのは、やっぱりイッルが悪い。こいつがハッセにこんな格好をさせるから。

「ハッセは大人っぽいからな、こういう格好させると似合うヨナ」
 にひひ、と得意げなイッル。悔しいけど当たってる。──イッルだってやっぱり、そう思うよな。

「後で写真取るカラナ。年少組からリクエストされてるんダ」
「え? なんだよそれ」
「ハンナ先輩の男装姿拝ませてくださいよー、それと写真っ、て。ずいぶん前から頼まれてんダ」
「へぇ。……あのさイッル、それで、これを選んだの?」
「さーなー。どーだかナー」

 プレゼントの裏事情を暴露するイッルと、それに対して満更でもなさそうな反応を返すハッセ。ハッセは余裕を持ってこの状況を楽しんでる、そんな気がする。

「それにしても、胸ちょっとゆるくないカ?」
「そうかな。そんな気はしないけど」
「んー。私の見立てではもう少し育ってると思ったんだけどナー。やっぱり見た目だけだと信用できないナー」

 実測は大事ダヨナ。イッルがわきわきと指を動かし、手をハッセの方に伸ばしかける
(──何やってんだよ)
 割り込んでやりたいけれど、うまい言葉が見つからずに、気持ちばかりがざわめく。じゃれ合う二人の姿を見ながら、胸の前で手を握り締める。


「やっぱり触れて確かめないとナ。実測は大事ダナ」
「ははははは。駄目だよイッル」

 イッルがハッセの胸に手を伸ばしかけた一瞬の隙を突いて、ハッセはそばにあった輪ゴムを手に取ってイッルの顔を撃つ。いてーと言いながら、額を押さえて笑うイッル。

「痛いなーもー。でもナ知ってるカー? どっかの国じゃ、おっぱいは揉むと大きくなるって言うんだぞ」
「いやいや、別にイッルのお世話にならなくてもー」
「だーめーだー。こう言うのは若いうちからの訓練が物を言うんだしサー……」

「いつまでやってんだよ! みんな待ってんだぞ!!」

「え……」
 思わず上げた私の声に、二人の動きが止まる。…
 二人は目をぱちくりさせながら、顔を並べて私の方を見ている。……しまった。
「え、えっと。とにかくパーティーの準備が出来てるし、そろそろ……」
 しどろもどろに言いつくろう──。なんだか、すごく悔しい。これじゃ、私がじゃれ合う二人に嫉妬してるみたいじゃないか。

「何だヨニパ。お前もこういうの着たいのカ?」
「え?」
 イッルがハッセの首に手を回してにやあっと笑った。ハッセがイッルの言葉を聴いてにっこり笑う。
「あ、いいねぇ。セーターもいいけど、もっと色々な格好を見てみたいしさー」
「どーせなら二人お揃いでやってみようぜー。絶対受けるカラ」
「でもニパはさ、もっとこう『かわいい』感じの方が……」
「ソウカー。いっそフリルのついたヒラヒラの……」
「何言ってんだよ! 何の罰ゲームだよそれ!」
「私は見たいけどな、ニパ」
「な……」
 突っ込んだ言葉をさらっとハッセに返されて、絶句する私。
 一瞬の内に頭の中に「そういう」服を着せられた自分を思い浮かべて、
「だめだめだめだめ! ……似合う訳ないって!」
 ぼん、と顔から火が出た。
「そうかなぁ」
「そうだよ!」
 間延びした声でにっこり笑うハッセ。全力で否定する私。私の肩に、イッルが手を置いて意地の悪い声で言う。
「ナニ照れてんダヨー」
「何で私が照れなくちゃいけないんだよ!!」
「そうだよ。照れなくてもいいよ、ニパ」
「ダヨナー。見たいヨナー」
「何だよ! 二人一緒になって!!」

 私をダシにして意気投合してる二人を見て、私の声が更に尖がった。

「いいから早く食堂に来い! みんな待ってるんだからな!」

 怒鳴り散らして背を向ける。またもいらいら。私はいつもこうだ。


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 パーティ会場となった薄暗い食堂で、ようやく人だかりが途絶えたハッセの隣に立った。
 飲み物と切り分けたケーキの皿を、ハッセの前に置く。どこかでイッルが騒いでいる声と、それに呼応するざわめきが聞こえる中、黙ってハッセの隣に座った。
「……ごめんな。ハッセの誕生日なのに、あんな風に怒鳴っちゃって」
 またやっちゃった、というお決まりの自己嫌悪を感じながら、私はテーブルの上のケーキにフォークを入れた。
「いいんだよ。私もイッルも、調子に乗り過ぎてたみたいだし」
 そう言いながらハッセはグラスを持った手を伸ばして、私のグラスに打ち当てる。ちん、と澄んだ音がした。
「それにしたって、私また、あんな風に怒っちゃってさ」
 ははっ、と沈み気味の心を吹き飛ばすように空笑い。
「……すぐ熱くなっちゃうからなー、私」
「──」
 ハッセは黙って、ケーキをフォークで切り分ける。ちん、と皿をフォークが打つ音。
「でも、私はニパのそういう所好きだよ」
「え……?」
「うん」
 ハッセの突然の言葉に、顔を上げて彼女の顔を見た。フォークでケーキを突きながらハッセは言う。
「強い思いを持って、それをすぐ口に出せるのは、うらやましいよ」
「そうかなぁ」
「私はそういう事、あまりしないしね」
「……」
「似てるからさ。そういう事を、よく考えるんだ」
 私より少しだけ細く、私より少しだけ長い指を組んで、ハッセは微笑む。
 似た顔の形。似た髪の色。確かに違うのは瞳の色だけ。
 いくら似ていても、二人は違う人間。それでも似てるから、お互いを無視できない私達。

「ところでさ。ねぇ、ニパ」
「え?」
 少しだけトーンを落とした声で、ハッセが私の事を呼ぶ。その声を聞こうと身を乗り出した私の顔をハッセが覗き込む。
「さっき怒っていたのはさ──」
「うん」
「──私とイッル、どっちに妬いてたのかな」
「え……」
 ──さっきって、ふざけてるハッセとイッルに怒鳴っちゃった時のことだろうか?
「どっちに対して怒ってたのか、私は知りたいんだけど」
「え、ええっと……」
 普段は穏やかなハッセの瞳にちらりと覗く、穏やかでない何か。
 良く似た顔が私を見つめている。ただそれだけのはずなのに。それだけで、こんなに胸が騒ぐわけは無いのに。
「……そんなの、分かんないよ、私」
 静まらない胸の動悸。ハッセの目を見ていられなくて、私は急に目をそらした。


おわり

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以上です。読んでくれてありがとうございました。

とりあえずハンナを脳内で動かして、ハンナ-ニパの関係を初期設定してみたという感じですが。
ハンナに迫られるニパを書きたくてこういう形になりましたが、ハンナは恋愛方面不器用でもかわいいかと思います。

あと、ニパがハンナと似ている事を意識してる、という事を主題にして書いていないのが心残り。相手を見るときに自分の身体を意識してしまう一人称描写はえろいと思うので、次をやるとしたらその辺も書きたい。

書き始めた時はふりふりの服を着せたハンナにエイラがセクハラしてニパがムキーとなるという流れを考えていたのですが、冷静に考えたら変なので止めました。
「無茶な!」と思えるものを形にしたほうが面白いものが出来る気がするけどね。




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