ストライクウィッチーズのSSを書いてます。 その他百合中心で書くつもりですが、普通の日記も書くかも。
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にぱらじSS
すっかり放置…すみません。

1月から始まったSWラジオでニパが取り上げられて、うれしい限りですよ。
なのでラジオ第三回を聞いたニパのSS。
オリジナル設定のウィッチ(スオムス空軍のエリカ軍曹)が出てきますので注意。
どこかに落とすつもりだったけどタイミングを外したので供養。

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「When you wish upon a Star」



 そわそわ。うろうろ。時計をちらり。

 食堂の前の廊下を、私は往復している。
 時刻は1630。扶桑は多分11時半。今週もまた、この時間がやってきた。
 食堂の名前を通り過ぎながら、無人の室内を覗き込む。板壁の狭い部屋にしつらえられた暖炉と、その脇に置かれた大きなラジオ。磨かれた外板で作られたそのラジオは、一見どこにでもある家庭用のラジオだけど、今それは基地の通信装置につなげられ、遥か遠くからの電波を受信出来る様に改造されていた。細かい事はよく分からないけれど、レーダーの検波装置まで使われているらしい。目的はもちろん、扶桑のオオサカから届けられる電波を受信するためだ。
 毎週この時間になると、私の部隊は全員、基地を挙げてイッルのラジオを聞いている。

 そわそわ。どきどき。時計をちらり。
 あれから3分経って、時刻は1633。番組が始まるまであと27分。

 昼食が終わって大人しく部屋で待機しているはずが、いてもたってもいられなくなって、気がついたらここに来ていた。30分前。いくらなんでも早く来過ぎだ。何やってんだろう私は。

 そりゃ、番組の中で完全にリトヴャク中尉にイニシアチブを握られてるイッルは情けないしバカだと思うし。更に言うならリトヴャク中尉に振り回されながらも嬉しそうにしているイッルの声を聞いてると、しっかりしろよ! って言いたくなるし。何より、あれだ……面白くないけど。
 でも、ずっと聞きたかった、イッルの声なんだ。

 スオムスで私をからかい陥れ、時には元気付け気まぐれに世話を焼き、そしてふらっと去っていったあいつ。声の限りに叫んでも、私の言葉が届かない所で、いくら空に目を凝らしても、その姿が見えない所で、今も戦っているあいつ。その声が聞けるのを、これまで一週間、いやあいつが旅立ってから、ずっと私は待っていた。
 だから三十分ぐらい、「ほんの直ぐ先」じゃないか。

(でもこんなとこ、人に見られるのは恥ずかしいよな……)

 あいつのラジオを楽しみにしてるなんて、他の奴には(特にイッルには)、絶対知られたくないし。それに見つかれば、間違いなくからかわれるだろうし。

「張り切りすぎです曹長」「全裸待機ですか? 曹長」「楽しみにしてましたもんねー」

 恥ずかしい。そして恐ろしい。向こう一年間あだ名が「全裸」になるなんて、考えただけでもぞっとするじゃないか。大体、いくら身内の基地とはいえ、廊下をうろうろしてるなんてまるっきり不審者だし。
 自分でも気にしすぎだと思う。聞きたいから聞きたい! でいいはず……なんだけど。その、なんていうか、やはり恥ずかしいのだ。

 何度か食堂の前を往復して、廊下の角に立ち、そっと食堂の方をうかがう。

(……やめた。)

 やっぱりどこかに行ってよう。時間になれば、ちゃんと聞けるんだしさ。外に行って掃除でもしてたら気分も落ち着くだろ。そう思いながら私はきびすを返しかけ――

「――ニッカさん」
「ひひゃうっ!」

 ぽんっと肩に手を置かれて飛びのいた。

「え、エル姉……」

 跳ねる心臓を押さえながら、にこにこしながら私を見ているエル姉の顔を見返す。いつの間にか背後に忍び寄っていたんだろう……。

「……ど、どしたの?」
「え? エイラさんのラジオが始まる時間ですけど」
「え? あと30分あるけど……」

 言い返すと、エル姉はさも不思議そうに首をかしげた。

「……? ニッカさんは違うんですか?」
「あ……いや! 私は違うって!」
「……え?」
「いや、私は別に……ただっ!」
「?」
「……あのー、ほら、あれだ。1630からミーティングあるって言われた気がして……」

 ……うわぁ。しどろもどろに口にした言い訳は、即自分でも後悔できるレベルの苦しさで。でも一度言ってしまってからには続けるしかない訳で。

「それでほら、ここに来たけど、今誰もいないしどうしようかなーって……」
「ミーティングなんてないですよー。私も聞いてませんから」
「そう?」
「誰かに用事でもあったんですか?」
「い、いや、ちょっとね」
「そうですか?」

 エル姉は間延びした返事をしながら、手のひらを合わせてにっこり笑う。

「多分みなさん集まって来ますよ。時間になれば」
「そ、そうかな?」
「なので――」

 エル姉は私の手を取り、ぐいと引っ張る。

「一緒に食堂で待機です!」
「ちょ、ちょっとエル姉!」

 この人らしからぬ強引さで私の手を引くエル姉。そのままぐいぐいと食堂に連行される私。

「ちょっと待って待って!」
「だめです。一人で準備しながら待つのって、寂しいじゃないですか」
「準備って何だよ」
「椅子並べたりお茶を入れたり、やる事たくさんありますから」

 食堂のドアをくぐるころには、私も諦めて連行される。

「もう……分かったって……」
「今日のエイラさんは、どんな感じですかねぇ……」

 そうだね。一人で待つより二人で待ってた方が、きっと楽しいし。

「……相変わらずじゃない?」

 この人らしく、気を使ってくれたんだしさ。



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「今週はちゃんと準備してくるかな。飛行長」
「準備準備って言ってるけど、どんな準備をする気なんだ? イッル達は」
「ネタでも仕込んでるとか」
「でもイッルってさ、下準備をみっちりやるタイプじゃないじゃん」

 前番組が終わる頃から、隊の奴らが集まってきて、狭い食堂を埋め尽くす。ラジオを取り囲んで座りながら、話に花を咲かせる一同。ラジオからやや離れた所に座って、私はその声を聞いている。
 じゃれ合うように続く話し声。お茶を注ぎ合う食器の音。お菓子の香りとかまびすしい笑い声。無骨で質素な食堂が一気に華やかになる……それはいいんだけど。

「でもラジオ聞いてるとさー、下準備ばっかりで全然実行に移せない飛行長もありだと思わない?」
「ヘタレなイッルか……いいな」
「アリダナ」

 ああもうこいつらは。もうすぐ番組が始まるっていうのに。

「静かにしろよ! 聞こえないだろ」

 いらいらして注意すると、おしゃべりと笑い声が突然やんだ。食堂が静まり返り、全員が目を見開いて私の方を見ている。

「あー、ごめんニパ。うるさいと聞こえないよね」

 その驚いた顔が、一斉にニヤニヤ笑いに変わった。

「イッルがしゃべりだしたら黙るからさ。そんなに怒るなよ」
「う……」
「っていうかなんでそんな所に座ってんの? もっと近くに来なって」
「いや……」

 一斉に温かい言葉をかけてくださる皆さん。優しさと視線とニヤニヤが身体に突き刺さって痛い。椅子の縁をつかんでうつむく。

「ほら曹長。そんな所にいないで」

 ニヤニヤしていた中の一人、エリカが席を立って私に歩み寄り、私の腕を取って立たせた。そのままラジオの前に連れて行く。なんか今日は引っ張られてばかりだなーと思いながら、手を引かれるままに、人ごみの中を歩いていく私。エリカは私を、一つだけ開いていた椅子の前に連れて行くと、その椅子を指し示した。

「はい。ここ」
「ここ?」
「そうですよ。座ってください」
「うん? ……ておい。ここラジオの真ん前じゃないか!」
「そうですよ。かぶりつき。先週もここにいたじゃないですか」
「……そうだっ…け?」
「今週はしっぽ振らないでくださいねー。曹長のしっぽ大きくて邪魔なんですから」

 からかう様な口調でエリカが言うと、食堂の中にどっと笑い声が起こった。

「~~~~!!」

 ……は、は、恥ずかしいだろ! なんて事言うんだお前!! 顔が真っ赤なことを自覚しながら、何も言い返せない私。
 私はしっぽ振ってた覚えなんてないぞ! そりゃしなかったって言う自信もないけど! でも仮に例え、もしそうだったからって、みんなの見てる前で言う事無いだろ!

「ごめんねー。気が利かなくて」
「聞きたいなら最初から近くに座れよな。めんどくさいなニパは」

 そんな私を迎え入れるみんなの温かい笑顔……お前ら覚えてろよ。言いたい事はすごくいろいろあったけど。エリカにはみっちり礼儀とか作法とか叩き込んでやりたいところだけど。

「……ひどいじゃないか……」

 その時口に出せたのはそれだけ。出された椅子の上に、私はぺたんと座り込んだ。


--


『――エイラ。準備はいい?』
 オープニングのナレーションが終わり、リトヴャク中尉の声で番組が始まる。

『お、おう……なんか、やたら気合入ってるな』

 リトヴャク中尉に気圧されてる、イッルの情けない声。はりきるリトヴャク中尉と比べて、かなりテンションが低い。ていうか、まるっきり、素。第一回目のオープニングではリトヴャク中尉をリードしていたのに、それ以降イッルはずっとこんな感じだ。

(そりゃ昔から熱い奴じゃなかったけどさ……)

 ほら、もっとしっかりしろよ。お前、やるときはやる奴だったろ? そんな苦笑いを浮かべた時――

『……私はニパから、『バカ』って手紙が来た』
「……何ィ!」

 思いもしないイッルの言葉が聞こえて、私は立ち上がってラジオにしがみつく。

『――じゃあ、スオムスでも聞けたの?』

 え? え? え? ……イッル! 今お前、何て言った? 私の事を話さなかったか?
 続くイッルの言葉を、固唾を呑んで待つ。背後からヲ~ゥと囃す声が聞こえたような気がするけど気にしない。

 そりゃあ、「聞いたぞー」って報告を兼ねて、イッルに手紙を書いたけど。
 確かにラジオやろうって最初にリトヴャク中尉を誘っておきながら、ペース握られっぱなしなイッルに、しっかりしろよバカって書いた気はするけど。……その、私はただ、かっこいいお前が見たくて、だからがんばれって、そういう気持ちで、私は手紙を送っただけで。もちろん「バカ」って事を言いたいわけじゃなくて。だけど……。

『そうだけどー……』

 イッルは手紙を読んで、どう思ったんだろう。怒ったかな。それとも……喜んでくれたのかな。
 照れていいのか、不安になったらいいのか、喜んでいいのか。私の中でいろんな気持ちがぐるぐるして、ただ頬が熱くて。
 イッルは……なんて言うんだろう。ラジオにしがみついた手を、私はきゅっと握り締め、

『…チョニラゴハムニダ』
「……おいっ!」

耳慣れない言葉を突然流しだしたラジオの横っ面を思いっきり平手ではたいた。

『オセヨーチガブル イロ ボリョッソヨ チョナボノガ ミョッポニムニカ キョンチャルソ マンジョバド ケンチャナヨ? トドゥギムニダ! トワヂュセヨ! シンギョン スヂマセヨ!』
「お、おい……おいっ!」

 スピーカーから流れ続ける異国の言葉。それを聞きながらラジオの横面を叩く。最初はパーで。続いてグーで。

「ニパやめて! ラジオが壊れる!」

 音量を限界まで上げ、受信ダイアルをぐるぐる回す。ラジオを持ち上げて向きを変える。ラジオを持って歩き回る。ラジオに抱きついて「聞こえろー聞こえろー」と念を送る。

「落ち着け! ニパ落ち着けー!!」

 そんな私を止める声。何言ってんだ! 落ち着いてられるかよ!
 私はこんなに、こんなにあいつの言葉が聞きたいのに――!
 ……だがそのうち、その異国の放送さえも次第に途切れ始め、サーっというホワイトノイズの中に埋もれていく。
 そしてラジオは、完全に沈黙した。

「そんな……」

 心が折れた私は、床の上にぺたりとしゃがみこむ。
 ……何でこうなるんだよ。よりによって、イッルが私の事を話していた時に。

「……ニッカさん」
「エル姉……」

 背後からエル姉の声。慌てて涙をぬぐって振り返ると、エル姉はおろおろしながら、私にかける言葉を探している。

「その……」
「あ、うん。だ、大丈夫だから……」
「ニッカさん……」
「大丈夫。また来週になれば聞けるしさ……」
「え……ええ。それでその……あの、こんな時になんですけど……」
「……?」
「その、敵襲なんです……」
「え?」

 慌てて食堂を見回すと、いつの間にかそこにいるのは、私達だけになっていた。廊下をハンガーに向かって駆けていく足音や、「始動ユニット回せー!」というかけ声が、慌しく聞こえている。

「ネウロイのせい……?」
「……あ、いえその、エイラさんの放送が聞こえなくなったのは、多分電波の調子が悪くなったせいですけど……」
「……」
「でっでもっ! 敵襲ですから! 今受信のための設備はそちらに……」
「――ネウロイのせいなんだね。エル姉」
「ひぃっ……ニッカさん?」

 低い声で静かに語りかけた私の表情を見て、エル姉は息を呑んだ。
 ……そう言う事か。そういう事ね。ゆらりと私は立ち上がる。

「……エル姉」
「はっ……はいぃっ!」
「無線をラジオに繋いでおいて」

 気をつけの体勢で固まってしまったエル姉に頼んで踵を返す。
 ――ネウロイ。私達の故郷を踏みにじり、幾多の絆を引き千切り、今この瞬間も、私達の間を隔て続ける――私たちの敵。

「――エンディングまでに倒してくるから」

 ――やってやる。やらずにはいられないよ。今の私は。
 ストライカーのあるハンガーに向かって、私は駆け出した。


----



『広域探査に手紙送りたいよなー』
『スオムスで聞いてるもんな。絶対舞太に読んでもらえるよな』
『でも手紙送れないよなー』
『俺らネウロイだからなー』
『なー』

 地上の雑音を離れて、電波を捉えやすい高空を飛びながら、声ではない彼ら独自の方法で意見を交わすネウロイ達。ウィッチの声を聞きながら夜空を流す。殺伐とした任務を続けるネウロイたちのささやかな楽しみだ。会えば戦う敵同士でありながら、広漠とした空に彩を添えるウィッチ達のキャッキャウフフに心慰められるネウロイの数は、決して少なくはないのだ。
 これまではナイトウィッチの交信をたまたまキャッチする事しか出来なかったが、ラジオが始まった今、ネウロイたちは定期的にウィッチの声を聞く権利を手に入れていた。
 パーソナリティであるエイラーニャを嫁とするネウロイは狂喜し、他のネウロイは嫁がゲストに来てくれる事を望み、マリー派のネウロイに至っては「大丈夫ですってQSLカードも送りあった仲だしエイラもいい奴だって言ってたし頼めば絶対出してもらえますから大丈夫大丈夫」と電波で直に説得を行おうとしているらしい。

『今日のエンジン音、今週はメルスじゃないか?』
『多分そうだな。流れ的にも』
『でも誰のだろ。エルマさん?』
『まずは501からじゃないか?』
『天使だな。多分G-2』
『はぁ隊長のエンジン音マジかわいい』
『だがマルさんを押す』
『F型は違うかなー』
『なぜエイラが挙がらないんです?』

 定期的な燃料補充を受けて、ネウロイ達は浮かれていた。ウィッチ達の華やかなトークを前にして、無粋な戦闘など些細な事。ネウロイたちはそう思っていた。
 だから――頭上から怒りに燃えたウィッチが襲ってくるなんて、考えもしなかった。

『でもよく考えたらさ、俺達タキシング時のエンジン音なんて聞いたことないもんな』
『聞くのって戦闘速度の音ばっかりだからな』
『ケファラスさん爆撃のときに聞いてるんじゃないか? 俺帰ったら聞いてみる』

 VAOOOOOOOO…!

『そうそう。こんな音だよな。俺らが聞くのは』
『トップスピードで上昇して』
『ちょうど急降下で襲ってくるような』
『あーこれこれ。こんな感じ――』

 頭上の爆音を捕らえて、一斉に注意を向けるネウロイたち。

『え――?』

 夜の帳が落ちた真冬空。身を切るような寒気の中に、硝子の様に青い月。

「……せっかく……せっかく……せっかく……せっかく……せっかく……」

 その青白い光の中から聞こえてくる呟きが、人ならぬネウロイたちの聴覚に届く。

「……せっかくイッルが、私の事話していたのに……」

 ずずっと鼻水をすすりあげる音。まっすぐネウロイに向かって落ちてくる影。
 滴り落ちる程に濃密な怒りのオーラを漂わせながら、ニパがネウロイに向かって降下してくる。

「私の仕事増やすな! イッルの邪魔をするな!!!

 青白く光る瞳がネウロイたちを見据える。構えた銃口がネウロイを捕らえる。

「ひどいじゃないかぁー!!!!」

 怒りと嘆きを載せた銃弾に、抗える者はいない。
 ハングルは俺らのせいじゃないよ。そう思う暇もなく、ネウロイ達は相次いで塵に還った。



----



『ニッカさん、聞こえますか?』
「うん」

 雪の中から這い上がり、暗い空を見上げた。手近な木に向かって、雪を掻き分けながら歩いていく。

『良かった。すぐ回収の人が行きますからね』
「うん。でも……」

 返事をしながら、木にもたれて一息ついた……いてて。治りかけた傷の痛みに顔をしかめる。
 無理な高速巡航のせいでオーバーヒートしていたエンジンは、ネウロイを撃墜した直後に機能を停止し、私はまた墜ちて雪上に叩きつけられていた。
 打ち身と裂傷が痛む。雪に埋められた体が冷えてきて寒い。でも、それよりも、

「……まずは、ラジオつないでよ」
『分かりました!』

 ころころと笑うエル姉の声に続いて、イッルとリトヴャク中尉のブックマーク・ア・ヘッドが、インカムから流れ出す。

『聞こえますかー?』
「うん」

 間に合った――ほっとして目を閉じ、イッルとリトヴャク中尉の声を聞く。



『だから、今日も帰ったら特訓よ!』
『なんだよそれー!』

 ラジオはすでにエンディングに入っていた。リトヴャク中尉のペースに、相変わらず流されているイッル。

『一枚五キロだって!』
『そんなのめくれないぃー!』

 番組の出来に不満なリトヴャク中尉に水中で金属タロットをめくる特訓を命じられて、情けない声を上げるイッル。

「……バーカ」

 その姿を想像して笑ってやる。しょうがないよね。あいつバカだし。
 バーカ。空を見上げて私は笑う。今度は何を書いてやろうか、そんな事を考え始める。

 結局私の事は、それ以上聞けなかったけど。
 電波の向こうに、あいつがいる事。そのあいつを笑ってやれる事。その事が私の心を浮き立たせる。過去の思い出を眺めて暮らすだけではなくて、今ブリタニアにいるあいつの声を聞くことが出来る。それだけで、私はこんなにも楽しくなれる。嬉しくなれる。

(まぁ本当は、もうちょっとかっこいい所を見せて欲しいんだけどさ……)

 それはまた来週。この時間になれば、またイッルの声が聞けるんだから。
 これまでずっと待っていた私にとって、一週間ぐらい「ほんの直ぐ先」だ。


 迎えに来るストライカーの灯りを探して、星が瞬く空に目を向ける。
 電波に乗ってあいつの声が伝わってくる空。ブリタニアまで続いている空。その空に向かって語りかける。


 ――お疲れさま、イッル。



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「ニパは5分ぐらい前にはラジオの前に行って正座して待ってそう」という某スレのネタを見て書きました。おかげで妄想が広がりましたありがとうありがとう。




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